共有名義の不動産売却をスムーズにする方法とは?必要書類とポイントを解説

売却向けコラム

灘野 博史

筆者 灘野 博史

不動産キャリア10年

愛媛県生まれなこともあり、夏、冬問わず主にアウトドアが好きですが国内外でのミュージカルなどを観劇することも大好きです。
築古戸建て投資から不動産をスタートし建築やDIYも得意です。

日本国内は全ての都道府県に旅行し、海外旅行も50か国以上は旅をしました。
各地の不動産(住宅や歴史的な建造物)を見ながら世界遺産や郷土グルメを食すのも楽しんでいます。

共有名義の不動産売却をスムーズにする方法とは?必要書類とポイントを解説

相続などで共有名義の不動産を所有している方は、どのように売却すれば良いのか悩むところでしょう。
そこで今回は、共有名義の不動産を売却する方法や流れ、必要書類、売却する際のポイントについて解説します。
共有名義の不動産の売却を検討中の方は、ぜひ参考になさってください。

共有名義の不動産を売却する方法とは?

共有名義の不動産を売却する方法とは?

共有名義の不動産は、法律上、1人の意思だけで勝手に不動産全体を売却することができません。
そのため、以下の方法で売却することになります。

①全員の合意を得て不動産全体を売却する方法

共有名義の不動産を売却する場合、共有者全員の合意が得られれば、不動産全体を一括で売却することができます。
この方法は、他の方法と比べて相場通りの価格で売却できる可能性が高く、売却後に得た資金を共有者間で分配するのが容易です。
ただし、共有者が多い場合は全員の合意を得るのが難しくなることがあります。

②自身の持分のみを売却する方法

他の共有者の合意が得られない場合でも、自分の持分のみを売却することが可能です。
第三者への売却は難しいため、まずは、他の共有者がその持分を買い取ってくれるか確認するのがおすすめです。
一般の方は共有持分だけを購入しても活用しづらいため、購入することはほとんどありません。
土地のみの不動産であれば、土地を「分筆」して自分の持分を単独名義にし、自由に売却する方法もあります。
分筆とは、登記簿上で1つとされている土地を複数に分けることです。
ただし、分筆するためには、どの範囲を誰が所有するかを決める話し合いや、専門家による測量が必要で、時間と費用がかかることがあります。

③司法手続きを経ての売却

共有者間で売却に関する合意が得られない場合、共有物分割請求訴訟を提起するのも1つの手です。
共有物分割請求訴訟とは、共有物を物理的に分割するか、売却してその収益を分配することを裁判所に訴えることを指します。
共有物分割請求訴訟によって、不動産の共有状態を解消することが可能です。

④リースバックを利用する方法

リースバックとは、一度不動産会社に家を売却すると同時に賃貸借契約を結ぶことによって家に住み続ける方法になります。
共有名義の不動産に居住者がいる場合、リースバックの利用により、居住者はそのまま住み続けながら、売却によってまとまった資金を得ることができます。
ただし、リースバックを利用する場合、家賃が相場よりも高くなることが多いです。
場合によっては、家賃の総支払額が住宅ローンの返済額を上回ることもあります。
また、その家は不動産会社の所有物となるため、新しいルールが設けられたり、将来的に賃貸借契約を更新できなくなったりする可能性もあります。
リースバックを検討する際は、契約内容を事前によく確認しましょう。

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共有名義の不動産を売却する流れと必要書類

共有名義の不動産を売却する流れと必要書類

共有名義の不動産全体を売却する際に必要な書類は、基本的に通常の不動産売却と変わりません。
ただし、書類によっては共有者全員分が必要になるため、共有者が多い場合や遠方に住んでいる場合は、準備に時間がかかることがあります。
必要な書類を事前に把握し、早めに準備を進めましょう。

不動産に関する必要書類

不動産の所有者や土地を証明するために、以下の書類が必要です。
登記識別情報(登記済権利証)
不動産の登記が完了した際に交付される書類で、その登記人が不動産の所有者であることを証明します。
2006年までは「登記済権利証」が発行されていましたが、2006年以降は12桁の英数字からなる「登記識別情報」が発行されています。
地積測量図・境界確認書
売却する不動産の土地の面積や、隣地との境界線を明確にするための書類です。
古くから受け継がれてきた土地や家にはこれらの書類がない場合があります。
その際は、土地家屋調査士に依頼して測量する必要があります。
測量には費用と時間がかかることがあるため、必要だと分かった場合は早めに依頼しましょう。

共有者全員が用意する書類

共有名義の不動産を売却する際には、共有者全員が以下の書類等を準備する必要があります。

●実印:売却契約書に押印するための印鑑
●印鑑証明書:実印が市区町村に登録されていることを証明する書類となり、発行から3か月以内のもの
●身分証明書:運転免許証やパスポートなど、本人確認ができる公的な証明書
●住民票:共有者それぞれの現住所を証明する書類で、発行から3か月以内のもの


準備が整っていないと手続きがスムーズに進まないため、早めに準備を進めることをおすすめします。

共有名義の不動産売却の流れ

共有者間の合意形成と必要書類の準備が終わった後、売却までの一般的な流れは以下のとおりです。
①不動産会社との契約
媒介契約には専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3種類があるため、それぞれの特徴を理解し、自分に合った契約を選びましょう。
②売買契約の締結
購入希望者が見つかると、売買契約を締結します。
売買契約書には共有者全員の署名と実印が必要です。
③所有権移転登記の手続き
売買契約が締結された後、所有権を購入者に移転する登記手続きをおこないます。
④収益の分配
不動産が売却されると、その収益を共有者間で分配します。
共有者の持分に応じて分配されるのが一般的ですが、特別な取り決めがある場合はそのとおりに分配することも可能です。

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共有名義の不動産を売却する際のポイントとは?

共有名義の不動産を売却する際のポイントとは?

共有名義の不動産を売却する際、お互いの認識に齟齬があるとトラブルに発展する可能性があります。
そのため、事前に以下のポイントを押さえておきましょう。

①最低売却価格を決める

売却価格に関しては、誰もが高額で売りたいと考えるため、トラブルが発生しやすい要素です。
トラブルを避けるためには、あらかじめ最低売却価格を決めておくことが大切です。
不動産の売買では値下げ交渉が一般的ですが、交渉に不慣れだったり、購入希望者がなかなか見つからなかったりする場合、大幅な値下げを迫られることがあります。
しかし、最低売却価格を事前に決めておけば、それ以下の価格で売ることは避けられます。
最低売却価格は、共有者全員と不動産会社と相談しながら決めると良いでしょう。

②売却活動のまとめ役を決める

共有名義の不動産を売却する際には、いくつかの重要な場面で共有者全員の署名・捺印が必要になります。
共有者のなかに高齢の方や遠方に住んでいる方がいる場合、代理人を立てることを検討しましょう。
代理人を立てると、書類への署名・捺印などの手続きを代理人がおこなうことができ、共有者全員が毎回集まる手間を省くことができます。
代理人を立てない場合でも、不動産仲介会社とのやりとりをスムーズにするために、共有者のなかから「まとめ役」を決めておくと良いでしょう。

③諸費用の負担割合を決める

不動産の売却には、仲介手数料や印紙税などの諸費用がかかります。
一般的には、これらの費用を持分に応じて負担しますが、共有者全員が同意すれば負担割合を変更することも可能です。
支払い時のトラブルを避けるため、売却前に諸費用の負担割合を決めておくと良いでしょう。

④委任状による代行売却

不動産を売却する際、共有名義者全員が立ち会えない場合には、委任状を用意することが重要です。
委任状とは、出席可能な共有名義者に手続きを任せることを証明する書類です。
委任状があれば、立ち会えない共有名義者も契約に同意したとみなされます。

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まとめ

共有名義の不動産を売却する方法は、全員の合意を得ての売却、持分のみを売却、司法手続きを経ての売却、リースバックを利用するの4つです。
必要書類は、登記識別情報、地積測量図・境界確認書などが挙げられます。
ポイントは、最低売却価格やまとめ役、諸費用の負担割合を決める、委任状による代行売却を検討することの4つです。


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