相続税における取得費加算の特例を活用して節税に役立てよう!

不動産

灘野 博史

筆者 灘野 博史

不動産キャリア10年

愛媛県生まれなこともあり、夏、冬問わず主にアウトドアが好きですが国内外でのミュージカルなどを観劇することも大好きです。
築古戸建て投資から不動産をスタートし建築やDIYも得意です。

日本国内は全ての都道府県に旅行し、海外旅行も50か国以上は旅をしました。
各地の不動産(住宅や歴史的な建造物)を見ながら世界遺産や郷土グルメを食すのも楽しんでいます。

相続税における取得費加算の特例を活用して節税に役立てよう!

相続した不動産を売却して利益が出れば、所得税や住民税が課税されます。
しかし、取得費加算の特例を活用すれば、これらの税金の負担を軽減することが可能です。
そこで今回は、相続税における取得費加算の特例とはなにか、適用できないケースや併用できる税制と併せて、詳しくご紹介します。
これから不動産を相続する予定がある方は、ぜひ節税対策のためのご参考にしてみてください。

相続税における取得費加算の特例とは?

相続税における取得費加算の特例とは?

相続した不動産が高値で売却できた場合、税負担を思った以上に重く感じるかもしれません。
このようなケースで節税効果が大きくなるのが、取得費加算の特例です。
ここでは、取得費加算の特例の概要や要件、計算方法についてご紹介します。

取得費加算の特例とは?

取得費加算の特例とは、支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例のことです。
不動産を売却して得た利益は譲渡所得と見なされ、譲渡所得税(所得税や住民税)が課されます。
これらの税額を計算する際に用いられるのが、取得費です。
譲渡所得税は、譲渡所得に不動産の所有期間に応じた一定の税率を掛けて算出します。
ただし、不動産の売却金をそのまま利益として計算するのではなく、売却金から取得費と譲渡費用を控除した金額に対して課税されることを覚えておきましょう。
そもそも取得費とは、不動産を購入した際にかかった費用(土地購入代金や仲介手数料など)のことです。
一方、譲渡費用とは、不動産を売却する際にかかった費用(仲介手数料や印紙税など)のことを指します。
つまり、取得費や譲渡費用が大きくなるほど譲渡所得が小さくなり、譲渡所得税が軽減される仕組みです。
取得費加算の特例を活用し、取得費に加えて相続税の一部が控除されれば、遺産額によっては高い節税効果が期待できます。
遺産額が大きくなるほど相続税も高くなるため、取得費加算の特例には、譲渡所得税との二重課税にならないよう税額を調整する意味合いもあると言えるでしょう。

適用要件

取得費加算の特例を適用するための要件は、以下の3つです。

●相続または遺贈(遺言による贈呈)によって財産を取得している
●財産の取得者に相続税が課税されている
●相続開始から3年10か月以内の売却である


なお、取得費加算の特例を活用するためには、確定申告が必要です。
2月16日から3月15日(土日祝の関係で年によって変動あり)までの申告期間に必要書類を税務署へ持参して申請しましょう(インターネットによる申請も可)。

取得費に加算できる金額の算出方法は?

取得費に加算できる金額は、「相続税額✕不動産の課税価格/(相続した全体の課税価格+債務控除)」の計算式で算出されます。
簡単な例を挙げると、相続した財産のうち土地が2億円、そのほかが2億円だった場合、支払った相続税額の2分の1を取得費として計上することができます。
したがって、支払った相続税額が1億円であれば、5000万円を取得費に加算することができるでしょう。
譲渡所得税を求める計算式も併せてご紹介します。
譲渡所得税は、「譲渡所得✕税率(不動産の所有期間によって異なる)」の計算式で算出されます。
譲渡所得は「売却金-(取得費+譲渡費用)」です。
なお、相続した不動産を売却する場合、もとの所有者が両親などの親族であることから取得費が不明なケースもあります。
このようなケースでは、概算(譲渡価額✕5%)で取得費を計上することが可能です。

相続税における取得費加算の特例が適用できないケース

相続税における取得費加算の特例が適用できないケース

以下では、取得費加算の特例が適用できないケースについてもご紹介します。

ケース①夫婦間での相続

先述したように、取得費加算の特例は相続税を支払った場合に適用される特例です。
夫婦間での相続には、配偶者の税額が1億6,000万円まで軽減される特例があるため、ほとんどのケースで相続税が発生しません。
そのため、夫婦間での相続では取得費加算の特例を活用できない場合が多いことを覚えておきましょう。
また、親から子への相続の場合でも、基礎控除を超える額の遺産が残っていなければ相続税が発生しません。
したがって、取得費加算の特例は適用されません。

ケース②贈与された不動産

贈与によって取得した不動産を相続後に売却した場合、原則として取得費加算の特例は適用されません。
この特例は、相続によって取得した不動産にのみ適用されます。
ただし、相続時精算課税&3年以内加算制度を適用した場合は例外です。
相続時精算課税とは、生前贈与の課税を相続時に上限2,500万円まで先送りにできる特例です。
相続が開始された際に贈与された不動産も相続財産の対象となるため、相続税が発生すれば取得費加算の特例が適用されます。
また、贈与を受けてから3年以内に贈与者が亡くなれば、生前贈与がおこなわれなかったものと見なされます。
これが3年以内加算制度です。
したがって、贈与された不動産も相続財産の対象となり、相続時精算課税の場合と同様に相続税が発生する可能性があります。

ケース③譲渡所得以外での申告

両親が自営業を営んでいる場合、相続した不動産のなかには個人事業の棚卸資産などが含まれる可能性があります。
このような不動産を売却した場合に得た収入は、譲渡所得ではなく、事業所得に分類されます。
また、雑所得や山林所得などの場合も取得費加算の特例が適用されません。

相続税における取得費加算の特例と併用できる税制

相続税における取得費加算の特例と併用できる税制

取得費加算の特例には、併用できる税制があります。
譲渡所得税をさらに抑えられ、税負担を軽減できるため、上手に活用しましょう。

併用できる税制①居住用財産を譲渡する場合の3000万円特別控除

マイホームの売却に関する特例は、所定の要件を満たせば、取得費と譲渡費用にくわえて譲渡所得からさらに3,000万円を控除することができます。
譲渡所得が3,000万円を超えなければ、この特例を活用するだけで譲渡所得税を非課税にすることが可能です。
混同しがちですが、空き家を譲渡する場合の3000万円特別控除とは併用ができないため、注意が必要です。
取得費加算の特例と比較すると、空き家を譲渡する場合の3000万円特別控除を活用したほうが節税効果が高いケースが多いですが、例外もあるため、慎重に検討しましょう。

併用できる税制②小規模宅地等の特例

相続開始直前まで被相続人(亡くなった方)が利用していた不動産を売却する場合、相続税額を一定の面積に応じて軽減できる特例があります。
不動産の利用用途は、居住用のほか事業用として利用していた場合も適用することが可能です。
ただし、特例を併用する場合は、小規模宅地等の特例で算出した相続税額で取得費加算の特例が計算されることに留意する必要があります。
そのため、小規模宅地等の特例を併用する場合は、取得費加算の特例の恩恵を受けにくくなると言えます。
賃貸不動産や同居していた自宅を相続した場合は、売却のタイミングにも注意が必要です。
このようなケースでは、相続開始から10か月間は売却が制限される条件があるため、十分に把握しておくことが重要です。

まとめ

取得費加算の特例とは、相続税の一部を取得費から控除し、譲渡所得税の負担を軽減できる税制です。
とくに支払った相続税が大きい場合、節税効果が高くなるため、忘れずに活用することをおすすめします。
ただし、夫婦間での相続の場合は、活用できないケースが多いことを覚えておきましょう。
居住用財産を譲渡する場合の3000万円特別控除などの併用できる特例についても把握し、よりお得に相続不動産を売却できると良いですね。


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